ゲーマーの魔導書

割とガチゲーマー。トロコンと裏ボス撃破まで基本的には頑張るプレイ日記を書いてます

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◆6【かまいたちの夜2】~「夏美でーす」第三の大人の魅力現る

香山さんワールド全開

五十歳くらいの、小太りで赤ら顔の男性。香山誠一さんだ。おおう、懐かしい!

「透くんに真理ちゃんやったな。君らはバイトの久保田俊夫くんと篠崎みどりちゃんや。よお覚えとるやろ」にかかと屈託なく、香山さんは笑った。

 「あの……私、久保田みどりになりました」みどりさんがはにかんで言うと、
「は? 縁起かついで改名したんか」と香山さん。

そんなわけないだろ!姓名判断か!
「ち、ちがいますよ。結婚したんです」俊夫さんの腕をつかんでひっぱった。「ああ、なるほど。そらめでたい。結婚か、そらめでたいわ」香山さんは何度もうなずいた。

〈香山誠一〉さんは、大阪で会社を経営している人で、小林さんがサラリーマン時代お世話になった方なのだそう。なんでも、『関西人の悪いところを煮詰めて出したような典型的な人物』…らしい。我孫子さん(招待主ではなく本物の)が兵庫出身の作家さんなので、埼玉人(私)が埼玉を自分でディスるみたいな感じなのかもしれないね。

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どきどき。大人の魅力を醸し出す『春子さん』は来てるかな?

一年半前の雪のあの日、香山さんもシュプールに泊まりに来ていた。奥さんと一緒に……。

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そういえば……あの美人の奥さん〈春子さん〉は今日、一緒なのだろうか?透くんはひそかに胸をときめかせたナイショの話、あの人には、真理にはない大人の魅力があった。

「実はな、恥ずかしい話やけど、わしも新婚さんなんや」

香山さんはわけのわからないことを言うと、廊下に向かって歩き出した。「夏美。夏美」

「紹介しとこ。わしの女房の夏美や」
「夏美でーす」

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透たちは唖然とした。
髪の毛を茶色に染め、チューブトップヒョウ柄のタイトなミニスカート……。何ともイケイケな若い女性だ。

〈香山夏美〉さん。
今のところ、まだ素性は不明

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「春子とは離婚してな。ま、いろいろあったんや。わけは聞かんとってくれ。だははははは

離婚した理由も不明と。まあそこまでは突っ込みませんけどね。透は内心、犬神家の一族の青沼静馬ばりにひっくり返っている。

「うち、この人のお友達のこととかよう知りませんの。これからうちのこともうちの人同様よろしゅうに」

夏美さんは愛嬌たっぷりにそう言うと、腰を折った。薬指には、みどりさんのものとは比べ物にならない大きなダイヤが光っていた。

いいな~。夏美さんいいなあ。真理とは違う大人の魅力、ここにもありますね~。

「せやから、この招待、わしらも新婚旅行のつもりで受けたちゅうわけや。お手柔らかに頼むで。どぅわはははははは!

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香山さんと夏美さんのカップリング好きです

美女と野獣

豪快に笑う香山さんと夏美さんを見て、透はこの言葉を思い出した。

ひとりでウケて笑っていると、真理も来てくすくすと笑った。そんな様子を見て、香山さんが何を話しているかと尋ねてくる。透は誤魔化すが、面白がって真理がバラしてしまった。……言っておくけど、一緒に笑ってたんだから真理ちゃんも同罪だからね?

『美女と俳優』

という聞き間違えをしてくれたおかげで、香山さんの機嫌を損ねずに済んだ。なんていい人なんだ香山さん。むしろ上機嫌になった。透はあほらしくなった。

香山さん・夏美さんのお披露目も終わり、全員が応接間のソファに腰掛けると、俊夫さんがつぶやいた。

「他にも誰か来るのかな?」
「いや、わしらが最終便だと船長が言うとった。しゃあから、もう来んやろ」

香山さんが答えた。

「そういえばあの船長はん、けったいな人やったな」夏美さんは思い出したように言った。『風が吹く前に片付いてよかった。早うせにゃ島が輪になるからな』……とか何とか、わけのわからないこと言うてはったで」

島が輪になる?

どういうことだろう。透は不思議に思った。

「そやったそやった」と香山さんが同意し、船長から変なわらべ歌を聞かされて大層参ったということだった。あの船長、透たちだけでなく、他の人にもあの歌を聞かせていたらしい。

村上さんも例外ではなかったようで「つまらなくてワンパターンだ」と吐き捨てるように一蹴したが、夏美さんはそんなことはないときっぱり否定した。

「素朴でええやないの。あんた、今流行ってるしょうもない曲に耳毒されてるわ。近頃の曲は、しょうもない歌詞、しょうもない曲、しょうもない歌い手が揃ってるさかい、どうしょうもないねん。だいたい作曲家があほやねん」

夏美さんは、ピチピチイケイケのナイスギャルでありながら、自分の意見をしっかり持っている女性なのだ。

自称・作曲家の村上つとむさんは、いわゆるカッチーン!というやつで、やはりというべきか「私は作曲家だ。あほで悪かったな!」とおかんむり。

香山さんは代わりに謝って、これ以上角が立たないようにと夏美さんにも「謝っとけ」と促すが、彼女は自分は間違ったことは言っていないと譲らない。夏美さんの剣幕に香山さんもたじたじだった。

この辺で、集った人間を整理しよう

透はそんな諍いを横目に、応接間のメンツを見渡して、思考していた。最終便が来たということは、これで客は全員集まったということだ。

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あの夜、シュプールにいた者


真理
小林さん
俊夫さん
みどりさん
可奈子ちゃん
啓子ちゃん
香山さん

の、八人。

そして新しい顔ぶれ

村上さん
正岡さん
夏美さん

の、三人。

合計十一人。

香山さんは「え?まだ来てへんのかいな!」と心底驚いている。もちろんまだ来てへんのは、招待主の我孫子武丸のことだ。

それもそのはず――香山さんが乗ってきた船が【最終便】なのだから、我孫子武丸はもう、ここに到着していなければおかしい。

村上さんはかまいたちの夜の次回作(未定)のサントラを担当する(予定)の自称作曲家で正直、素性も怪しい感じだが、正岡さんは実際にゲームの関係者であるのだから、〈我孫子武丸〉と面識があるに違いない。香山さんは彼に「どんな方でっか」?と尋ねた。

ところが、さっきまで女の子を口説いていた勢いはどこへやら、正岡さんは急にもじもじして、いや、あのその……と歯切れが悪くなる。曰く、我孫子と「電話やメールでのやりとりが主」で一度も会ったことがない、ということだった。

「この島で初めて会う予定だった」「こんな仕事では珍しいことではない」…それから、電話で話した感じ、「歳は二十歳から五十歳くらいの間くらいでしょうか」と何のヒントにもならないことを言った。

透はあきれた。漠然としすぎている。
……しかし、ということはここにいる誰も、我孫子本人はと面識がないわけだ。

「はいはい、皆様、お集まりでございますね」

キヨさんが不意に部屋の入口に現れた。

もはや噛みつき役となった村上さんがさっそく「どういうことか説明してもらおう」と詰め寄った。

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ううん。村上さん、態度と言葉は悪いけど、確かにね。

「すんません、すんません…あ、あの…たった今、主人の我孫子から、急用で少し遅れる旨の電話がございました。我孫子も、その、たいへん恐縮いたしておりまして、くれぐれも皆様によく謝罪しておいてくれと申しておりましたです」

キヨさんは居合わせた全員にぺこぺこと何度も頭を下げた。

挙句、宿泊する部屋すら「片付いていない」と言う……。続けて、「観光がてら2時間くらい時間を潰してきてくれると嬉しい」と申し訳なさそうに謝った。

呼んでおいて……しかしこんなおばあさんを責めても仕方ない。その場にいた全員(一名除く)がそう思ったことだろう。村上さんはキヨさんを怒鳴り散らしているが、まあなんというか、確かに正論ではある。誰も便乗はしないが、止めもしなかった。

しかたなく、透たちは応接間に自分たちの荷物を固めて置いておいた。

「なあ、あんた、襟巻きいらんかったかなあ」

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驚いたことに夏美さんは、旅行かばんの中からふかふかした狐の襟巻きを取り出して、見せつけるように振り回した。「島は夏でも寒い思て持ってきたけど、やっぱりまだ暑いなあ」

というか、見せつけているのだろう。

現在、8月。日本で襟巻きを巻けるほど寒い場所は、たぶん山頂くらいだと思うが。

あれ、三百万くらいするわよ」
真理が透にささやく。

三百万。タイヤとエンジン積んだら走るね。いやはやお金持ちは違いますなあ、と思いながら、透たちは館を出た。

「どこに行く?」真理が歩きながら聞いてくる。小林さんはついてこないみたい。

もちろん、決まってるだろ?
よく晴れていて、空気がおいしくて、何よりここは島だぜ。

海だ!水着だ!!!

おい真理、ビキニは持ってきただろうな?
ちょーハイレグで面積の小さいやつッ!

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次回、真理の水着を拝むの回

 有難いことに先客もいるぜ!!乞うご期待。またお時間ありましたらどうぞいらっしゃってください。ここまで読んでくださって、ありがとうございました~!

【キングダムハーツⅢ】グミシップ・エターナルとザク

ウェポングミ正面強めショットのパーツがザクの頭にしか

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見えないよね??(笑)

いやあのコスト制限がまだ1000超えてないもので、こじんまりとしたものしか作れないのですが…。

ホントはグミシップなんて弄る気なかったんですけれども。

グレイシアフォートの氷のお城の敵に、初期型グミシップで突撃したら木端微塵になって宇宙のデブリになったもので…(^ω^)ウワアァァァ

仕方ないから1を思い出してグミシップ作り。はじめるまで面倒くさいけど、軌道に乗るとやめられない中毒性がありますね~。

グミシップのステータス、パワーとかが、まだよくわからないの。
上げられるパーツも少ないですしね…。上げたら何が起こるんだろう?

あ、エターナルについては色だけのノリですから。戦艦マニアの方々の気に障ったらすみません、ほんと色だけです。最近ガンダムシードDESTINYを観返したので…そうでなかったら「ピンクスパンコール号」という名前になっていたと思います。

で、新生グミシップ&タイニーシップでグレイシアフォートに再戦にいったら敵が居なくなってました。強制イベントじゃないのかな?近くにいたから探してぶっつぶしてやりましたけど。

とりあえずまあ、こんな感じで上陸。
ここ、たぶんアナと雪の女王のワールドっぽいよね?
やることやって早くゲーム始めようっと!

◆5【かまいたちの夜2】~村上さんvs正岡さん、そして舞い降りる赤ら顔の救世主

応接間に集う懐かしい顔ぶれ

招待されていない俊夫さん夫婦がここにいる理由は、可奈子ちゃんが電話で「あの時のメンバーが招待されている」と伝えたからだった。

俊夫さんたちも懐かしい顔ぶれに会えると思い飛び込みで参加して、キヨさんが快諾してくれたのこと。同じ境遇であることを知り、まだ気を揉んでいたらしい小林さんも、ようやくリラックスした表情になる。

OL、三人組?

「あっ、そうだ!」

可奈子ちゃんが突然、大声をあげた。「みなさんにあったら言おうと思ってたんですよ!……私たち、ゲームの中でOL三人組ってなってたでしょう?

ゲームをやっていない透が困った顔をしていると、「ゲームでは、河村亜希というOLがもう一人いて、OL三人組になっていたのよ」と真理が小声で教えてくれた。

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「河村亜希なんて、名前を聞いたこともない」と可奈子ちゃん。その横で啓子ちゃんが首をぶんぶんと振り、同意を示す。それなのに会社のみんなに質問攻めにされてすごく迷惑したそう。

なぜそんな〈架空の人物〉を登場させたんだろうか。小林さんは唸る。「単にゲームを面白くするためのフィクションじゃ?」だと俊夫さんはそう言って、あまり気にしていないようだった。

「きっとそうよ、殺された田中っていう人も、あの時泊まってなかったじゃない。河村亜希なんて絶対関係ないわ。ただの作り話よ。真剣に考えたら馬鹿を見るわ」

みどりさんは普段になく激しい口調でそう言った。

我孫子武丸に聞いてみればわかるんじゃないですか?」

透がそう言うと、みんなはうなずいた。

歓談

残りの招待客を待ちながら、透たちはソファに腰を据えて、この島の印象や、「シュプール」での一夜以来の近況を語り合った。

可奈子ちゃんは、みどりさんの爪を彩るマニキュアが気になるらしい。彼女の手を取り、きれいだと褒めたり、どこの製品かを尋ねたりしている。啓子ちゃんもそれに同意していた。

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それは確かに変わったマニキュアで、みどりさんの名前と同じ緑色だが、独特の陰影があるものだった。

彼女たちがウフフキャッキャの女子トークに花を咲かせ、男性陣も微笑ましく見守っていた華やかな雰囲気をぶち壊すかように、キィィ、と蝶番の音が響いた。

……誰?我孫子武丸候補その1

男が現れた。

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背の低い、がっしりとした体形の中年紳士。腕を組み、見るからに不機嫌そうで、みな知らない顔だった。この人が、我孫子武丸なのか……。

「けしからん。まったくけしからん」

男は、突然、叫ぶように言った。

我孫子武丸という男は全くけしらかん。人を呼びつけておいて、自分は遅れてくるなんて、礼儀知らずもはなはだしい」

我孫子武丸の悪口を言い始めたので、彼は我孫子武丸ではないようだった。

作品の打ち合わせをしたいというから、こんな辺鄙(へんぴ)な島にまでわざわざ~」とちょっと何を言っているのかわからないが、どうやら招待主がまだ来ていないことを怒っているらしい。

彼は、作曲家の〈村上つとむ〉と名乗った。

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透・真理・小林さんは丁寧に一人ずつ自己紹介をしたものの、村上さんはほとんど関心を持たず、ひたすら憤慨している。「もうそろそろ来るんじゃないですか?」とちゃんと答えてあげる透くんは、なんて思いやりのある青年だろう。「次の便で最終だって船長さんが言ってましたよ」

「さあ、どうだか…」村上さんは、ふんと鼻を鳴らし、尊大な態度でソファへ腰かけた。

応接間の客人がまた一人。歓談にも一区切りついたことだし、この辺で確認しておきたいことがあった。

招待主について

「みんな、我孫子という人から招待状が来たのよね。この中に我孫子さんと面識のある人はいますか」

真理はそう尋ねたが、そこにいた皆、かぶりを振った。

「村上さんは、我孫子さんと面識がおありですよね?」と小林さん。「さっき作品の打ち合わせとか言っていたのだから」と隣に座った村上さんに尋ねた。

 しかし、彼は否定した。
「会ったこともないし、ついこの間まで名前も聞いたこともなかった」と言うのだ。

はぁ…。
は?

村上大先生曰く、いきなり電話がかかってきて、かまいたちの夜の続編をつくるから、そのサウンドトラックを担当してちょ」我孫子武丸に依頼された。その第一回目の打ち合わせの指定がこの島だったから、遥々くんだりやって来た……そう説明しながら、村上さんはまだ怒っていた。

かなり変な話だよな~。詐欺じゃね?

「ゲーム会社を通さず頼んできたんですか?」と俊夫さんはもっともな疑問を口にする。
「ああ……私が有名なものだから直々に頼んだんだろう。その態度はよしとすべきだが、この遅刻で帳消しだな!」

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し――――ん。

真理が小声で透にきいた。
「村上つとむって有名なの?」
「さあ……」
透は肩をすくめた。

しばらくして、キヨさんが一人の男性を連れてきた。

絶対こいつだ!我孫子武丸候補その2

透たちの船の次の便で着いたのだろう。年齢は三十代半ばくらいで、人のことを品定めするような目つきが不快だった。……まちがいない、この男が我孫子武丸だ。

透が確信しかけたその時、男はいきなり名刺を出して、女の子たちに配りはじめた。

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 「よろしく。正岡で~す!」
「きゃあ!ゲーム・プロデューサーだって!」

可奈子ちゃんが大声を出した。

ここのBGM最高。ブラジルのサンバを彷彿とさせる、かまいたちの夜サントラ屈指の強烈BGMが正岡さんの登場を盛り上げてくれます。

「君が可奈子ちゃんだね。聞いていたとおり美人だなあ」
「君が啓子ちゃんか。ゲームではぽっちゃりしてるなんて描いてあったけど、なかなかスリムじゃないか」
「あ、君が真理ちゃんだね。さすがヒロインなだけあって、人の目を引きつけるなあ。素敵だよ」
「あなたが、みどりさんですね。『かまいたちの夜』にあったとおりだ。大人の魅力がありますね。実物に会えて感激です」

男はぺらぺらとひとしきり女性陣を誉め、男連中は完全無視

彼の名前は〈正岡慎太郎さん。

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「フリーのゲーム・プロデューサーをしていて、業界では少し知られた存在です。ヒットした『かまいたちの夜』も私が手がけました。皆さんと二日間過ごせることをうれしく思います」

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と、四人の女性だけを見ながら自己紹介をした。さすが立て板に水といったところ。

おもしろくない!透は一層不機嫌になった。可奈子ちゃんはうっとりと正岡さんの話に聞き入っている。真理もああいう〈業界人〉に魅力を感じるのだろうか?と心配そうに真理の顔を横目で伺う透であった。

戦いのゴングが鳴る

「君が、今度の作品をプロデュースするのかね」

女性たちだけに話しかけていた正岡さんに、割って入った村上さんとのバトルが始まるのは必至。村上さんは一応、仕事の話をしたかったようだけど…あの調子だしね。

我孫子さんから少し聞いたけど、へえ、あなたがねえ。全然知らないなあ…私、若い才能にしかキョーミないもんで。あなたみたいな既成の権威をぶち壊すのが私たちクリエーターの仕事なんですよ」

「しっ、しっ…ししし、失敬な!」

激しい口論、要約するとこんな感じ。

ふむふむ、正岡さんはつまり若い女が好きってことか。しかしそれは置いても、さすがに村上さんに失礼よ。才能は若ければいいってもんじゃない。洗練という言葉もあるからね。

一触即発の雰囲気を引き裂くように、耳覚えのある胴間声が響き渡った。

「よお、懐かしい顔ぶれが揃とるな」

殴り合いのケンカ秒読みの応接間に、赤ら顔の救世主が舞い降りる。大阪国のオーラをまとい、おじさんは帽子を気さくに上げてみせた。

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あ~、〈知らないお姉さん〉まで長かったな~。やっと会えるよ。

次回、お嬢降臨。ここまで読んでくださって有難うございました!次回もお暇でしたら読みにきてくださいね~!

↓つづき
usabarashichan.hatenablog.com

◆4【かまいたちの夜2】~女性の名前はフルネームで記憶するのが流儀

行きたくない!三日月館まであと少し

去る船長さんの背中に手を伸ばし「ああっ、まっ……」と言いかけたがそれも叶わず、ついに〈三日月館〉の前まで来てしまった透たち。

丘から見えた、黒く不気味な壁を目の前にする――高さは7メートルくらい。全体的に強固なレンガ造りの塀で、館を丸く囲むような構造になっていた。「この扉を閉めれば、館は完全に囲まれる。どんな大波や嵐が来てもだいじょうぶというわけだな」完全に酔いのさめた小林さんは嵐の予感のフラグを立てた。

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門の左右に埋め込まれた二本の高い塔は、見る者を陰鬱な気分にさせる。
「あれ、きっと監視塔ね」
囚人が脱走しないかどうか監視していたのだろうと真理は言った。続けて真理は「窓がないわ!」(正確には、窓はC字になっている建物の両端に2つのみ付いている)「窓の脇に鎌がついてる!」と観光気分でウキウキ。

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透はその鎌をよく見てみようと、二階にある窓を注視しながら近寄った。
「うわっ」

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なんて悪趣味な。窓の真下には、尖った剣状の刃物が何十本も植えられていた。今転んでいたら、透は剣山串刺しの刑で早くも物語から退場するところだった。どうも、これは飛び降り防止(っていうか禁止)のためのものらしい……。

はあ…雰囲気ぶち壊しだ。
監視塔…高い塀…飛び降りたら即死の剣山。どれも陰鬱な光景で、透はどんどん気が滅入ってきた。せっかくの真理との旅行がこんな不気味な監獄だなんて。

剣山があちらこちらに生えた光景を横目に、小さな橋を通って中庭へと入った。すぐ目の前には(公園の噴水に似ている)が湧き出している。釣りマニアの小林さんが、淡水魚ではない魚が泳いでいることに目敏く気づく。透はその水をぺろりと舐めるとしょっぱかった。海に通じているかもしれないと真理ははしゃぐのだった。

ライオンの顔をしたノッカーを鳴らす

「どなたさんですかの」

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そこに現れたのは腰の曲がったお婆さんで、髪は銀色。顔には深い皴が刻まれた、控えめで柔和そうな人だった。透と真理は、招待を受けた者だと挨拶をした。お婆さんは我孫子武丸から管理一切を任されている〈菱田キヨ〉と名乗り、ぺこぺこと頭を下げた。

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そして招待を受けていない客小林さんは、二人の後ろからおずおずと声をかけた。『ゲームの舞台になったペンションのオーナーである』ことを、汗をふきふき伝えている。我孫子にあったら、どうして私を招待しないんだ、とガツンと言ってやる」と言っていた勢いはどこへいったのだろう、と透は肩をすくめた。

「へえへえ」キヨさんは柔和な顔つきを崩すことなく言った。「主人はまだこの島には参っておりません。ですが、お客様が増えることはきっと歓迎すると思いますです。小林さま、どうぞ……どうぞこちらへ」

錆が出た鉄製の扉を開け、三人を館へと招き入れる。足を踏み入れるとそこは古めかしいが手入れの行き届いた、洋風の屋敷といった内装だ。湾曲した廊下を先導するキヨさんの後ろについて行く。

案内されたのは応接間だった。品の良い調度品が並んでいる。

「やあ、透くん。久しぶりだなあ」

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先客に声をかけられて、その声の主を見るなり透たちはあっと声を上げた。
〈久保田俊夫〉さんだ。一年半ぶりに会う懐かしい顔だった。

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俊夫さんはスキー好きが高じてシュプールに住み込みで働いていたバイトのお兄さん。単位そっちのけで、当時は「大学6年生」を自称していた。身長180センチを軽く超えるスポーツ万能といったガタイで、日焼けしているのは相変わらずだった。

そして隣にいるのは、〈篠崎みどり〉さん。

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彼女も俊夫さんと同じ時期にあのペンションで働いていたバイトのお姉さん。以前会ったときは年齢不詳で、二十代のようにも高校生のようにも、おばさんのようにも見える魔女。かまいたちの夜1では彼女もスキー焼けしてたようだけれど、今はどうなんだろう?

「オーナー、ごぶさたしてます」

俊夫さんとみどりさんは、小林さんにきちんと挨拶をした。
真理が、俊夫さんの薬指の指輪に気づき指摘すると、ふたりは結婚したとのこと。お互いに視線を絡め、とっても幸せそうだ。

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なあんて、透くんは言わない。そんなことを言えば、四方から鉄拳とキックと頭突きが飛んできて、透はぼろぼろにされてしまうことだろう。

ここは素直に、「おめでとうございます」と祝福しておこう。

あれから一年半が過ぎ、自称大学6年生も進級しているのかと思いきや、大学は辞めてスポーツ用品店に就職したらしい。「家内」という言葉を照れくさそうに言う俊夫さん。

「あなたたちも早く私たちみたいになりなさいよ」

そうそう、ぼくたちも早く……グッジョブみどりさんナイスパス、透は期待を込めた目で真理を見つめたが、「でもみどりさん。結婚するには相手が必要なんですよ。あぁ、誰かいい人いないかなぁ」真理の視線は、透の上を素通りして、遠くをさまよっていた。

こんなにいい男が近くにいるっていうのに…。

って内心でぼやいている透くんがいじらしくてかわいいのよ。

「あれ?そう言えば、ママさんは」
「今日子かい?それが聞いてくれよ……」

招待状

俊夫さんに尋ねられて、小林さんは事情を説明した。
「……そもそも私たち夫婦には招待状が届いていないんだよ。失敬な話だろう?」
怒りがぶり返してきた小林さんはそう憤ると、「実は自分たちもなんですよ」と、俊夫さんは頭を掻きながら答えた。

どうも招待されたのは〈宿泊客だけ〉で、ペンションの関係者は全員外されたらしい。
ならば俊夫さんはこの旅行のことをどうやって知ったのか?

「私がお知らせしたんです」
女性の声がした。

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「覚えてらっしゃいますか」
やせた、髪の長い女性がそう言った。
「懐かしいわあ。また会えるなんて思ってなかったしい」
続けて、ぽっちゃりとかわいい感じの女の子が言った。

何か言おうとした小林さんを制して、ぼくは身を乗り出して言った。

渡瀬可奈子さんと北野啓子さん

ピンポンピンポーン。
言い当てる。
女性の名前は忘れない。

「わあ、フルネームで覚えてくれているなんて、感激」
嬉しそうに拍手してくれたのが、癒し系ぽっちゃりの〈北野啓子〉さん。

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透くんに言わせると「ちょっと肥りすぎのようだが、いかにも健康的」との評価。

 「また、遊んでやってくださいね」
少し軽薄そうに言ったのが、〈渡瀬可奈子〉さん。

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透くんに言わせると「目元がきついが、美人だと言ってもいい」との評価。耳元で揺れる貝殻のイヤリングが印象的だ。

彼女たちは同じ会社の仲良しOL二人組で、どこへ行くにも二人で行動するらしい。

先ほど透くんがすっ…と手で制した小林さんが二人に挨拶している間、だれかが透の服の裾を引っ張った。真理だ。

真理が耳元でささやく。

「一度しか会ったことのない相手の名前を、よくフルネームで覚えているわね」
すごく怖い文体になっている。
「いや、それは……」
「暗記は苦手だって言ってなかったっけ。女性の名前に関しては、すごい暗記力だこと」

うわああああっ!
ここで嫉妬にかられた真理に殺されてジ・エンド……『彼女に呪いの言霊で』






うそうそ!続きます。まだまだ懐かしい顔ぶれが出てきます。次の人は懐かしくないけど。ここまで読んでくださって、とっても嬉しいです!またお暇でしたらいらっしゃい!ありがとうございました!!

つづきもよかったらどうぞ!